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「すこしふしぎ」+「かわいい女の子」=「空想少女」

特集 レビュー PinとくるWebマンガレビュー

Champion タップ!で不定期連載中の、さと「空想少女」は、少し不思議な日常を描いたオムニバス。そのタイトル通り、女の子を中心とした物語ばかりが描かれている。

ここでは現在発売中の1巻に収録されているストーリーをいくつか紹介してみたい。

手を触れずに物を動かすことができる少女・百合の奮闘を描く「がんばれ!超能力者」。彼女の力は使い過ぎると副作用でスカートが縮むのが欠点だ。ある日、電車の中でパンツが見えそうになっている女の子を助けようとするが……。

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さと「空想少女」より「魔法少女?プリプリピンク」。

「魔法少女?プリプリピンク」は、かつて魔法少女に憧れていた桃子が主人公。長い時が経ち、彼女は魔法少女になることができたが、露出が多い衣装を着るのはすでにすでに少々キツい年齢。しかも子供が生まれて毎日が忙しいので地球の平和を守るどころではない。しかし同じく子持ちでありながら魔法少女になったプリプリパープルは、悪と戦いながらも毎日キャラ弁を作っており……。

「日常系SFオムニバス」というと、どうしても光原伸「アウターゾーン」のようなホラーっぽいイメージのものが多い中、この「空想少女」のようにかわいい女の子ばかり出てくる作品は珍しいのではないだろうか。しかもこのマンガは、「主人公が女の子だからこそ活きる不思議な設定の物語」が多い。

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さと「空想少女」より「せいちょうき」。

個人的に一番グッときたのは「せいちょうき」という回。これは「ある年齢を超えた人間は、姿がほかの生物に変わる不思議な世界。しかし自分がなんの生物になるかは成長してみるまでわからない」という独特過ぎる世界のお話。この設定であれば、老若男女が出てきても面白くなりそうだが、女の子しか出てこない「空想少女」ではそこに微エロというか、若干変態的な要素が加わる。思春期の女の子たちによる「人より早くほかの生物への変化が始まり、体育の時間の着替え時に身体を隠す」とか「かわいいリスになりたかったけど、手がだんだんとイカになってしまうことを悩む」というシーンが描かれているのだ。「(動物の耳が)もう生えてたり……するの?」というひとコマなんかは、直接的なエロスこそ描かれてないが、ちびっ子が読むと変な感じに育つタイプの怪しさを持っている。

考えてみれば、日常SFというのは作家の妄想力が試されるものだ。このように微エロと直結させるマンガはもっとあってもいいはず。意外と盲点だったこのジャンルを、「空想少女」に切り開いていってほしい。

(文/松本真一)