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本編のあとにやってくるタイトル芸が光る4コマ「ベルリンは鐘」

特集 レビュー PinとくるWebマンガレビュー

4コママンガといったら、まずタイトルがあってそのあと4コマが始まるという形がオーソドックスです。でも、そのタイトルが実はくせ者。内容に関わるものだけに、最初からオチが読めてしまう場合もあります。私の場合は、4コマ本編のあとにタイトルを確認する、ということもしばしば。ところが「ベルリンは鐘」では、このタイトルのジレンマを見事に解決しているのです。


「ベルリンは鐘」は「パルプンテ系無秩序4コマ」というキャッチコピー通り、不条理に不条理を重ねるような展開のギャグ作品です。主人公からして「学校のチャイムである父とジングルベルの母から生まれたリンガベルというベル」という感じで、ほとんどの人が何を言っているのかよくわからないだろうというキャラクターですし、ましてやどういう話かを説明してもますます意味がわからなくなると思うので「リンガベルたちの日常を描いた4コマ」とだけ書いておきます。

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「ベルリンは鐘」第1話より。

そんな本作は4コマ自体も面白いんですが、感心したのはタイトルが4コマ本編の最後に書かれているところ。これがよくできているんです。もちろん最初に書いたようなネタバレ要素を回避できるというのが合理的な点なんですが、それだけではありません。たとえば第1話の最初の4コマ。主人公・リンガベルがパンをくわえて学校へ急ぐシーンから始まるのですが、呼吸がしづらいからとパンを捨てます。すると、4コマ目でリンガベルが死にます。読んでいるこっちが放り出されたような気持ちになっていると、最後に「餓死」というタイトルが出てくるんです。エピソード的には4コマ目で完結しているのですが「餓死だったの……!」と、オチが付くのはむしろ最後のタイトルになっているわけです。

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「ベルリンは鐘」第1話より。魂だけ登校し、道端にはリンガベルの死体が転がる。

さらに次の4コマでは、餓死して魂だけで登校したリンガベルが遅刻したため廊下に立たされます。魂が廊下に立たされる中で、道路にそのまま倒れ続けているリンガベルの体が4コマ目に描かれているというオチになっています。その最後に出てくるタイトルが「死体遺棄」。これだけシュールな展開をしておいて、「ここだけ妙に現実的な罪状名が出てくるのかよ!」というギャップでまた噴いてしまうわけです。先ほどの「餓死」はオチの説明になっていましたが、こちらはタイトルで追い打ちをかけられたような形です。

このほかにも上手に4コマの一部としてタイトルが活用される場面が多数あり、単なる作品の添え物というタイトルへの認識を覆してくれるネタが満載。作品の無秩序感を加速させる「ベルリンは鐘」のタイトル芸に、ぜひ注目してみてください。

(文/小林聖)