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マッチョさよりも彼女たちのカッコよすぎる生き方に惚れる「女の友情と筋肉」

特集 レビュー PinとくるWebマンガレビュー

筋骨隆々な3人の主人公、イオリ、ユイ、マユの姿を見て、“女性なのにマッチョ”というインパクトだけが「女の友情と筋肉」の面白さだと思っている方も多いのでは。たしかにそのギャップが生み出す衝撃は凄まじいものがある。しかしそれ以上に魅力的なのは、恋も仕事も全力で、それでもまわりの人たちへの優しさも忘れない彼女たちのカッコよすぎる生き方だ。そんな彼女たちの姿に魅了されたのか、本作は多くの読者の支持を得て、昨年末に宝島社から発売された「このマンガがすごい!2016」でオンナ編第8位へのランクインを果たした。

「女の友情と筋肉」は星海社の4コママンガ配信アカウント「ツイ4」で連載されている4コママンガ。メーカー勤務のイオリ、商社に勤めるユイ、アパレル販売員のマユは、鍛えぬかれた肉体と妥協を許さぬ性格で、会社からも恋人からも頼りにされる存在だ。そんな超人的な3人の日常が、彼女たちの恋人や職場の後輩などを交えて描かれる。

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「女の友情と筋肉」1巻より。

イオリたちは人より恵まれた体躯を持ち、「ドラゴンボール」の登場人物のごとく空を飛び、エネルギー弾まで放つ。だが、そんな3人も現代日本を生きる社会人。仕事でミスをして落ち込むこともある。しかし彼女たちは、そこからがめちゃくちゃカッコいいのだ。もう仕事を辞めたいと嘆いていたユイは、イオリとマユの勧めで限界まで腹筋をすることによって、もうちょっとがんばってみようと前向きになる。因果関係はさておき、とにかく彼女たちは自分自身を変えることで問題を乗り越えていく。トラブルに直面したとき、つい誰かのせいにして、逃げ出してしまった経験を持つ人は多いだろう。そんな人には彼女たちのまっすぐな姿は、輝いて見えるはずだ。

いかにもゆとりなマユの後輩や浮気症なイオリの彼氏など、脇役たちはどこか抜けているところがあり、主役の3人よりも、彼らに深く感情移入してしまうほどだ。それゆえ脇役が3人に憧れの眼差しを向けるたび、読み手の心のなかにあるイオリたちへの憧れも加速していく。誰にも言わずに朝早く出勤して仕事をしていた後輩・シバタが、イオリから食事とともにねぎらわれるエピソードを読んだときには、こんなことしてもらえたら100%惚れてしまうと思ったほどだ。

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「女の友情と筋肉」2巻より。

「読むと元気になる!」は本作単行本の帯キャッチコピーだが、がんばりすぎるくらいがんばっているイオリたちを見ていると、自分もまだまだ!という気持ちが自然と湧いてくる。この春から新しい環境へ移った方も、そろそろ気の抜けてくる頃ではないだろうか。そんなときはいつだって全力な彼女たちの姿を見て、自身を奮い立たせてみては。

(文/籠生堅太)