読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

産む予定がなくても楽しめる!新感覚「妊婦」マンガ「出産の仕方がわからない!」

特集 レビュー PinとくるWebマンガレビュー

Webマンガのなかでも根強い人気を誇るのが「実録コミックエッセイ」。20kgダイエットした人の話からネット婚活した人の話まで、異世界で冒険するようなスリリングさはないものの、「気にはなっているけれど、まだ体験していないこと」を手軽に楽しめるという醍醐味があります。

しかし、そんな実録コミックエッセイの題材として多く取り扱われながらも、人によっては、異世界モノよりも遠くかつスリリングに感じられるであろうテーマがあります。それは「出産」。

今回ご紹介する「出産の仕方がわからない!」の著者カザマアヤミさんにとっても出産はまったく未知の世界でした。女子校育ちかつ男性免疫ゼロで、30ギリギリになるまで彼氏すらできたことのなかったカザマさん。旦那さんの「子供がほしい」に応えて妊活に取り組むことになりますが、不妊治療のお作法から妊娠中の下着の選び方まで、わからないことだらけの毎日で……。

f:id:pinga_comic:20160421205520j:plain
「出産の仕方がわからない!」より

「恋愛3次元デビュー 〜30歳オタク漫画家、結婚への道。〜」でもはちゃめちゃな婚活ロードを見せてくれたカザマさん。「出産の仕方がわからない!」もとにかく赤裸々すぎてびっくりします。不妊治療で「◯日ごとにセックスしてください」と医者から言われた話、旦那さんが出したての精液を容器に入れて運搬した話、などなど……。旦那さんもマンガ家で、お名前を出されているので、「ここまで描いて大丈夫なのか!?」と読者が心配になるレベルです。

「43歳で母になる」「腐女子な私が、母親に!?」など、妊娠・出産という一大事に出産未経験者が格闘する作品はほかのマンガ家さんも描いていますが、カザマさんがユニークなのは、出産の段取りに対する悩みだけでなく「っていうか何で子供ほしいんだったっけ?」なんていう根本的なところから悩みだして葛藤し、暴走して珍行動に出てしまうところ。毎度毎度読んでいるこちらが「ちょっと落ち着こう」となだめたくなるくらいのぐるぐるぶりです。しかし、それゆえに妊婦になっているひとりひとりにとっても妊娠・出産は、たとえ妊活のすえであっても心の準備ができているものではなく、異世界モノで主人公になるくらいのスリリングな体験なんだなということを実感できます。妊娠の予定も出産の経験もない人間であってもシンパシーを感じられるのです。

f:id:pinga_comic:20160421205527j:plain
「出産の仕方がわからない!」より

「なんとなく子供はほしいけど、きちんと話し合ったことはないかもな」という既婚者の方、妊娠中の奥さんの気持ちがわからなくて怒られっぱなしの旦那さん、そして周りの人間の出産報告を聞いてなんだか自分だけ取り残されているような焦りを抱いている未婚女子まで、すべての出産未経験者にこそおすすめしたい出産マンガです。

(文/平松梨沙)