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友達の秘密……どこまで聞いてOK? 車も片手で押せる怪力少女との友情描く「スペシャル」

リイド社のWebサイト「トーチ」で連載されている「スぺシャル」は、転校生の女子・葉野さんがひと癖あるクラスメイトに囲まれて過ごす普通じゃない日常コメディ。めちゃくちゃ金持ちで学校に炊飯器やら洗濯機やら持ち込む人、ずっと豆を食べている男子、その男の子のほっぺをつねるのが好きな女の子、ガソリンの匂いがたまらなく好きな子などなど……個性派揃いの級友たちですが、その中でも、伊賀さんという女子のキャラクターは飛び抜けています。

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力が強すぎる伊賀は、借りたシャーペンを使おうとして粉々にしてしまう。

伊賀さんの力はとても強い。どれくらい強いのかというと、片手で車を押せるくらい。その怪力ゆえに伊賀さんは周囲から便利に使われたり、怪力のせいで普通の暮らしが送れないことを悩んだりすることも。転校してきたての葉野ちゃんは、伊賀さんの並外れた怪力を疑問を思いつつも日常に溶け込んでいきます。そしてあるとき「伊賀さんがどうしてあんな怪力の持ち主なのか」という疑問を、勇気をだしてクラスメイトに聞くのですが「葉野ちゃんにとって伊賀さんがなんの興味もない人間だったら話せた」と秘密にされてしまいます。私はそれを読んだ時に「寂しさ」を感じました。

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伊賀が入院すると聞き、その理由について考えすぎてしまう葉野。

大切な友人の事を知りたいのに知れない、聞いていいのかわからないけど聞きたい、そういうことを勇気を出して聞いた時に「それは言えない」と拒絶される寂しさ。友人が相手でも、どこまで踏み込んでいいのかわからないモヤモヤとした不安。そういうものを葉野ちゃんは抱えているように見えました。「なんの興味もない人間なら話せた」という通り、秘密を知ることで今の関係が崩れることを恐れるほどに、葉野ちゃんの中で伊賀さんは大事な存在になっていたのです。

いろんなことを考えすぎてしまう葉野ちゃんが、ひとり相撲しながらも諦めずに伊賀さんの謎と向き合っていく不器用な姿は、自分を見ているようで応援したくなります。変なクラスメイトたちの優しさを感じながら読んで欲しい一作です。

(文/なほるる)