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「塩対応の塩田くん」冷淡男子のギャップ萌えコメディ?いいえ、明日使える塩知識マンガです

特集 レビュー PinとくるWebマンガレビュー

ギャップは萌えの定番であり、必殺技だ。もはや思考に刷り込まれすぎてしまっており、ツンツンした女の子を見れば赤面する姿が、クールな男子を見れば突然の情熱的な愛の言葉が、不良を見れば雨に濡れる捨て猫が反射的に頭に浮かぶくらいになっている。それくらいベタな話なのだからいい加減飽きが来てもおかしくないのだけれど、やはり定番は定番になるだけの魅力があるもので、何度見ても「ギャップはいい……」と打ち抜かれる。不思議だ。

「塩対応の塩田くん」もそんなギャップ溢れるキャラクターが主人公。塩顔イケメンながら、突然クラスメイトに塩を撒くなど、あまりに愛想のない塩対応のために恐れられている塩田くんだが、実は「肩が重いという級友を除霊しようとした」といった善意で行動する心優しい高校生なのだ。理解不能な行動と実は優しい真意のギャップが面白くてグッとくる作品だ。

f:id:pinga_comic:20160628161654p:plain 突然のプレゼントにドキッとするヒロイン・佐藤さん。非常に少女マンガっぽいシーンだが、渡されているのは塩。

と、最初の頃はギャップ萌え系の新しい作品として注目していたのだが、連載が進むにつれて自分の中で楽しみポイントが変わってきている。

もちろん塩田くんのギャップは依然健在だ。クラスメイトの傷口に塩をかけたり、告白してきた女の子の顔面に塩水を含ませたハンカチを投げつけたりと一見嫌がらせ以外の何ものでもない行動を繰り返す。しかし、それもすべて理由があってのこと。険しい表情と奇行で誤解されつつも、いつも優しい塩田くんの姿はかわいくも微笑ましい。

f:id:pinga_comic:20160628161705p:plain 告白してきた同級生に塩水を含んだハンカチを投げつける塩田くん。これにももちろん理由はあるのだが、理由以前に塩田くんには常識が足りない。

だが同時に、塩対応という部分以上に印象に残るのが塩の豆知識だ。たとえば傷口に塩を投げつけたのも、実は塩の収れん効果を狙ったという理由がある。思わぬ塩の効果に普通に感心してしまい、徐々に塩田くん以上に塩そのものが気になり始めるのだ。ギャップ萌え系コメディとして読み始めたはずが、気づくといつの間にか「明日使える塩知識マンガ」として楽しんでいる。

もちろん告白してきた女の子の顔面に塩水を含ませたハンカチを投げつけたのにも理由があるので、気になった人は公開中の第4話を読んでもらえればと思う。たぶん塩田くんもだが、塩そのものが気になってくるはずだ。

(文/小林聖)