「わかりあえなさ」が2人の愛を盛り上げる! 都会男と田舎男がおりなす「トーキョーボーイミーツカントリー」

「男だとか女だとか関係ない。お前だから好きになったんだ!」──一般的には恋愛が成り立つとされてこなかった「男同士」の関係にフォーカスし、ハードルを越えて盛り上がる恋愛関係を、情熱的に発展させてきたボーイズラブの世界。

こう書くと、「同性愛は、世界でも当然の権利として認められてきている。社会の偏見というハードルがなくなったらBLで描けるものは減ってしまうの?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、BLが本質的に描いてきたのは、性別の壁にとどまらない、「わかりあえない2人がわかりあう過程で生まれる関係性」。教師と生徒、アラブの富豪と日本のサラリーマン、アイドルのライバルグループ同士、和菓子屋とケーキ屋……などなど、さまざまな「わかりあえない関係」の2人がBL界に登場してきました。

そして、ここに新たに「わかりあえない2人」の物語がスタートしました。それがCOMICフルール連載、高昌ゆりさんの「トーキョーボーイミーツカントリー」。

舞台は北海道十勝郡。牛が草をはむ雄大な平原に立ち尽くすのは、全身をおしゃれなスーツでキメた都会男・千秋。都会に生まれ、都会を愛する彼は、祖父が社長をつとめる会社で悠々自適な御曹司ライフを満喫していたのですが、あまりにも悠々と過ごしすぎたのが祖父の目に余り、「プロジェクトのための出張だ」だと嘘をつかれて、根性を治すための北海道サバイバル生活を余儀なくされることになったのです。

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第1話より。ヒグマに襲われたと思いきや、千秋が出くわしたのは大男の総一郎だった。

そして、居心地の良い都会を追い出されて絶望する千秋の前にあらわれるのが、彼が愛する都会の洗練とは無縁の、無骨で無愛想な熊男・総一郎。総一郎とともに汗水流して働くことがお前に与えるプロジェクトだと祖父から説明された千秋は、いやいやながらも農家の仕事に従事することに……。

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第1話より。総一郎は“嫁候補”が来ると聞いて千秋の面倒を任されたが、2人は反発し合う。

まだ2話目ということでストーリーは動き出したばかりですが、甘やかされて傲慢に育ったホワイトカラーの千秋と、寡黙で自然の中に暮らす肉体派の総一郎の相性がとにかく徹底的に悪そうということはビシビシ伝わってきます。こんなに相性の悪そうな2人がどうやって接近していくのか、そして一体ここからどうやって恋愛に発展するのか、想像するだけでワクワクしてしまいます。そう、性格が違えば違うほど、立場が違えば違うほど、そして2人の最初の距離が遠ければ遠いほどに、ボーイズラブを愛でる醍醐味は増すのです。

ちなみに、高昌さんのTwitterによれば、なんと著者ご本人が北海道在住とのこと。リアリティにあふれる十勝平野で育まれる恋のゆくえを、連載が始まったばかりの今から一緒に追いかけませんか?

(文/平松梨沙)