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過去に戻ってもオタ充!前向き過ぎる主人公に惹かれる「タイムスリップオタガール」

今、どんな少年マンガの主人公よりも、ブレなくて、ポジティブで、カッコいい女の子がいる。「タイムスリップオタガール」のはとこだ。

トラックにはねられ、どういうわけか17年前にタイムスリップしてしまった城之内はとこ(30)、そこそこオタク。 やってきたのは1996年、はとこ中学1年生。未来の知識でチート気味な青春をエンジョイするかと思いきや、気が気じゃない様子のはとこさん。 なぜならタイムスリップの直前、コミュケ(同人誌即売会)でしこたま同人誌を入手してきたばかり。しかも、なまじネットでサンプルを読んでしまったせいで、生殺し状態なのだ。

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「タイムスリップオタガール」より、自分が集めた同人誌が過去にはまだないという事実に気付くはとこ。

過去に飛ばされたというのに、彼女の行動原理は「同人誌が読みたい!」からまったくブレない。 未来に戻りたいのも、せっかく手に入れたのに読むことのできなかった新刊のため。17年という歳月をかけて築き上げた同人誌の山も、まだ存在しない。 それに気付くと、これからいかに効率よく同人誌を集めていくことばかりを考えている。それにはとこにとって、今やレジェンドとなったアニメがリアルタイムで楽しめるので、1996年も捨てたものじゃない。 友達に会えなくて寂しいとか、そういうことも一切言わない。ホントに同人誌のことを中心に彼女の世界は回っているのだ。

はとこのブレなさを支えているのは、底抜けのポジティブさだ。 17年前に飛ばされる前にも、はとこは数日戻るレベルのタイムスリップを何度か経験し、そのたびにコミュケに参加するということを繰り返していた。 夏コミュを数日の間(彼女の体感的)に数回という、尋常ならざるハードスケジュールも「大好きな同人誌のためにお金使うのは快感」と思えてしまう彼女。 昨日まで30歳なのに、いきなり今日から中学校に通えというのも、ちょっと無茶な話だが「働かなくていいでござる!」の1点だけで、はとこは超ハッピーに。 彼女が置かれている状況は、かなりヘヴィだ。発狂したっておかしくない。でもそんな中でも彼女はプラスな出来事を見つけ出して、そこに幸せを感じている。それはもはや一種の才能だ。

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「タイムスリップオタガール」より、何度目かのコミュケも心から楽しめるはとこ。

自分が大好きなものためなら、どんなことでも前向きになれる。こんな主人公、嫌いになれるわけがない。つまらないしがらみや、人間関係に疲れた人には、好きなものには全力なはとこの姿が輝いて見えることだろう。 気軽に読めて、元気になれる。そんなヒーローは、「タイムスリップオタガール」のなかにいた。

(文/籠生堅太)