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80年代テイストのサウナドラマ「発汗のワンダーランド」

マンガにも色んなジャンルがあるが、最近では一風変わったサウナマンガが熱い。例えば週刊モーニング(講談社)に掲載されたタナカカツキ「マンガ サ道 ~マンガで読むサウナ道~」は、サウナを楽しむためのガイドとして今や金字塔的なポジションだ。

一歩進んで、サウナをドラマな内容に仕上げたマンガが登場した。「発汗のワンダーランド」だ。

主人公のサラリーマン・高橋タカシは、サウナで他人と自分を比較する。つまり、どれだけ長くサウナにいられるかをその場にいる人と我慢比べするのだ。“キング”と呼ばれる男とサウナで居合わせた際も「『コイツこの程度かよ』と思われるのがシャクにさわる」と腰を上げようとしない。その果てに、キングからは「何のためにサウナに長くいられるかを競うんだ?」と質問を投げかけられる始末だ。

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「キング」と呼ばれる男。30分以上サウナに入っても顔色ひとつ変わらない。


全体を通して印象的なのが、時折挟まれるクサいまでのセリフ。

「アホみたいな気分だぜ/この溜まりにたまった鬱憤を晴らせる場所があるなら…」
「こんな気分さえもサウナなら晴らしてくれるはずさ」
「炸裂する湿度/暴力的な暑さ/ここは そう…発汗のワンダーランド」

これらの言葉のテイストが、どことなく80年代のドラマを想起させるのだ。

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高橋タカシがサウナでひとりぼやくシーン。この3コマは、1コマで描くことだってできる。でも、3コマで、大げさな身振りで気障なセリフを言わせている。


「スチュワーデス物語」「あぶない刑事」「教師びんびん物語」などは、真面目で熱いやりとりが繰り広げられているけれども、いま見るとどこか古めかしく、くすぐったい気持ちでクスリとしてしまう。それと似たことを「発汗のワンダーランド」を読んでいても感じるのだ。この作品はサウナを通した人間ドラマで、真顔で展開するコメディの側面もある。登場人物はごくごく真面目にやりとりしているのに、昔のドラマのようなどこかおかしみを含んでいる。

ちなみに原作の脱獄劇が個人で発表していたWeb漫画は完結している。またふんわりジャンプでも最終話となる第18話が3月24日(金)に更新予定だという。改めて描かれている高橋タカシの物語がどのような完結を迎えるのか、注目だ。

(文/川俣綾加)