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姫乃たまの「人生には明らかに意味がある」 第4回

特集
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姫乃たま

私の両親はゲームが好きで、特に父親はコントローラーの持ちすぎでバネ指になったほどです。父がゲームを始めると、てってっと部屋に走っていき、父のあぐらの上で画面を見つめていました。

あのスーパーファミコンのカラフルなボタンを今でも思い出します。あれ、まだ押し入れにあるのかな。

週刊ファミ通(KADOKAWA)とコミッククリアで連載中の『無慈悲な8bit』は、作者である山本さほさんの思い出や日常を、ゲームへの愛と一緒に詰め込んだ2ページ漫画です。イラストがぽってりしていて可愛らしく、柔らかい書き文字も、見ているだけで癒されます。

難しいゲームのレビューではないので、ゲームに詳しくない人もエッセイ漫画として楽しんで読めます。そしてゲーム好きな人は、首がもげるほど頷ける共感ポイント目白押しです。みんなで楽しんだ昔のゲームはもちろん、山本さほさんがすごいのは、最新のゲームもしっかり押さえて楽しんでいるところ!

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「無慈悲な8bit」より。(c)Saho Yamamoto

ちなみに私は最新のゲームに疎くて、最後にプレイしたゲームは「スぺランカー」です……。段差につまずくとか、ちょっとしたことですぐゲームオーバーになるんですよね。『無慈悲な8bit』の第一話でも、まさに無慈悲なゲームとして取り上げられていました。 ゲーム史上最弱の主人公と呼ばれ、「滑って転んでスペランカ~♪」とBGMが替え歌されるほどの弱さ。これをプレイすると、マリオって強いなあ……って思います。

ところで父親の部屋には、いつも鉛筆とメモ帳があって、そこにはひらがなが羅列されていました。子供の私はいつも、どういう意味なんだろうと思って指でなぞっていました。それで、時々部屋から「がーっ!」とか、「だーっ!!」とかうめき声が聞こえてきて、暗い顔で父が居間に戻ってくるのです。 いま思うと、「ドラゴンクエスト」の“ふっかつのじゅもん”だったんですね。セーブしたデータにアクセスできないなんて、無慈悲すぎる……。

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「無慈悲な8bit」より。(c)Saho Yamamoto

私の父とまったく同じエピソードが、第一話でも描かれていました。でも、なんだかあの理不尽さが魅力だった気がします。泣きながらコントローラーを握っているさほさんの絵を見て、大人になってもあの頃のドキドキを純粋に覚えていて、とても素敵な人だなあと思いました。

その後、見よう見まねでゲームを始めた私は(スーファミの「風来のシレン」)、よく祖母から「たまちゃんはゲームじゃないから、死んだら生き返れないんだからね!」と本気で心配されていました。懐かしいなあ、あの頃。ゲームってすごく面白くて、またやりたいなあ。

プロフィール

姫乃たま(ヒメノタマ)
姫乃たま

1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を軸足に置きながら、文筆業も営む。そのほか司会、DJとしても活動。フルアルバムに「僕とジョルジュ」、著書に「潜行~地下アイドルの人に言えない生活」(サイゾー社)がある。